色々の人生。 

何気ない出来事に面白い気づきがある。そんな気づきを残したい。お好みの話を見つけてみて下さい。

人生初の手術の話

 

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私の特技は、サッカーだ。

4歳から始めている。

 

今でこそ、偉そうにエッセイなるものを書いているが、

昔は県内の強豪チームに所属しており、そこそこ優れた選手だった。

 

そんなサッカー全盛期の高校一年次、

自分の右足が思うように動かせなくなっている事に気づいた。痛みも酷い。

 

数分間走るだけで、右足全体にガスでも注入したのかと言う程、

何かが蓄積され、足全体が痺れる。

 

「これは間違いなく、やばい・・・。」そう思った。

けれどもプレーを続けていた。いや、続けざるを得なかった。

 

運動して来た人ならば経験があると思うが、部活やクラブチームでは、

多少の怪我であれば「気持ちの問題だ!!」と言われ、休む事が出来ない。

 

アホなのか。

 

「足が痛い」と言っているのだ。

どう考えても「身体の問題だ。」

 

あまりの痛さに病院に行くと、「身体の問題」であると診断された。

しかし、この診断が非常に曖昧なものだった。

 

「何かが起きている事は、間違いありません。」と医者は言った。

その言葉を聞いた時、私も医者になろうかと思った。医者と同意見だったのだから。

 

しかし、その曖昧な診断は、

医者が藪医者である事を証明するのではなく、私の怪我の厄介さを証明していた。

 

様々な検査をしたが、原因が全く分からなかったのだ。

 

「ひとまず、手術をして中を見てみましょう。治療が出来れば、そのまま行います。」

やっぱり医者は凄いと思った。自分の医者への夢は絶たれたのだった。

 

こうして、私の人生初の手術が決定した。

 

私は、手術を全く恐れていなかった。

眠っている間に、この厄介な怪我を治してくれるならラッキーぐらいに思っていた。

 

しかし、とある先輩に手術が決まった事を話していた時に、

先輩が発した一言によって、私の不安が爆発的に大きくなったのだ。

 

「ほぉ、手術するのか。すぐ終わるよ!ちん管はあるけど。」

 

 

私は、その一言を聞き逃さなかった。「ちん管?それは、何ですか?」

 

「ち◯ち◯に管を入れるんだよ!医者から聞かなかった?」

 

 

人生が終わったと思った。

足の怪我への不安は、完全に何処かへ消えた。

 

 

私は、医者をこれでもかと質問攻めにした。

 

・何のために入れるのか?

・どのタイミングで入れるのか?

・入れるからには、抜くのだよね!?

・入れるのと、抜くのはどちらが痛い?

・そもそも、痛い?

・ってかそもそも、入れないといけないの?

 

 

医者は、私の質問に一つ一つ丁寧に答えてくれた。

 

どうやら、その管は、尿を排出するためのものらしい。

麻酔が抜けきるまでは、尿をする事が困難になるのだ。

管を入れるのは、全身麻酔で眠っている間に済ませてくれるらしい。

そのため、抜く時だけ、痛みを我慢すれば良かった。

 

しかし、それでも怖かった私は、管を入れない選択肢はないのかと交渉した。

すると、医師は「術後に自力で排出できれば、問題ないです。」と答えた。

 

それならばと私は、管を入れることもなく、抜くこともない、

一石二鳥な選択肢を選び、手術に臨んだ。

 

手術は6時間にも及ぶ大手術だった。

医者の想定よりも長時間の手術だったため、麻酔の量も増やしたのではなかろうか。

 

病室のベッドで目覚めた私は、意識が朦朧とする中、尿意を感じた。

右足は包帯でぐるぐる巻きにされているため、尿器を手渡されていた。

 

私は決死の思いで尿器を当てがったが、、、出ない。

初めての感覚だ。したいのに、出ない。

 

しかし、ここで排出できなければ、間違いなく、ちん管である。

それは避けたいと思ったが、数時間もすると、膀胱は破裂寸前だった。

 

尿との戦いに負けた私は、ナースコールを手に取り、

「すいません、おしっこが出ません。」

 

ナースが駆けつけると、手には管を持っていた。

 

どうせ入れられ、抜かれるのであれば、

せめて入れる時は、眠っている時にしてもらえば良かったと後悔しても遅く、

 

夜中皆が寝静まる中、私のベッドだけには少しばかりの明かりがついていたのでした。

 ちなみに、入れるよりも、抜く方が全然痛くなかったのです。

 

ー管ー